対談

い:ひつじさんは92年生まれという事ですけど、所謂、z世代について何か思うところはありますか?

 

ひつじ:自分の世代観みたいなものは何となくあるんですけど、自分が経験してきた感じ続けてきた気分みたいなものを言っている同世代の人は見かけないですね。

 

い:それは具体的に言うとどのような気分なんでしょうか?

 

ひつじ:うーん、一口には言い切れないので詳しい話はこのインタビューの中で僕も話しながら紐解いていきたいという所はありますが。まあ、ざっくり言ってみると、この世界に生まれ落ちたら既に黄泉の国とか異世界って感じでしたよね。だから、ずーっとぼんやりしてるって感じ。

 

い:幼少期の記憶とか覚えてらっしゃいますか?

 

ひつじ:うーん、殆ど覚えてないです。後から写真を引っ張り出してきて母とこの時こうだったねとかで何となくそうだったようなって気がするっていうくらいで、完全に自分だけの記憶の中にあるものとなればもう少し先の話になります。

 

い:ではもう少し先へ進んで物心ついた辺りの、小学生の頃はどんな子供だったんですか?

 

ひつじ:おかっぱ頭の元気な子供でしたよ。僕、申年なんですけど、ほんときいきい煩い小猿って感じ。

 

い:女子にちょっかいとか出せるタイプの感じですか?

 

ひつじ:うん、割とクラスでもひょうきん者って感じで。だから、スポーツ万能とかイケメンの次のクラスの面白いいじられキャラみたいなポジションだよね。

 

い:今の様子からはちょっと想像つかないです。

 

ひつじ:まあ色々あるもんね。

 

い:ひつじさんはモテましたか?

 

ひつじ:うーん、どうなんだろう。初めてバレンタインチョコを貰ったのが小学生4年生で、初恋の子には何も言わず終いだったし、告白された事はなかったけど、小学6年の時に友達だった女の子と携帯でメールのやりとりをしていて、何となく好きになったのかな、それでお互い要を言い出さないながらも小出しに思いを伝えあって、付き合うごっこみたいな事をした事はあったな。

 

い:ひつじさん、小学生で携帯持ってたんですか?

 

ひつじ:多分、父親が持っていて勝手に借りて彼女のメールアドレスを紙に控えてて、それを打ち込んでやり取りしていたと思う。向こうも同じだったと思う。僕、中学の途中から携帯を手に入れるんだけど、小学生のその当時はちょうど、まだ親がハイテク機器を独占していて子供たちには降りてこなかった。

 

い:なるほどね。でも小学6年生で付き合うごっこって、言っちゃなんですが随分、健全な学区だったんですね。

 

ひつじ:うん、うちの小学校は歴史のある学校で来る子も中流家庭以上って感じがすごいあったなあ。やっぱり乱れてはなかったから、性の知識もどこからも誰からも仕入れられなかったわ。ずっとただただ穏やかで幸せな日々を送ってた。

 

い:結局、モテたのか分からないですね。

 

ひつじ:モテてないね、目立って。エピソードが貧弱だもの。

 

い:小学生の頃の友達とか放課後の遊びや家で見ていたテレビ番組とか教えてください。

 

ひ:友達は今思うと貧乏な子と仲良くなりがちだったなあ。石田くんてのがいて、彼の家の柱はアリの巣になっていて小さい蟻が我が物顔で出入りしていた。彼のお母さんは未亡人で会うといつも草臥れた和服を着ていて少しクレイジーだった。後年、彼女が身売りをしていたと知る出来事があったが割愛。

また、彼女は底抜けに明るくて家に遊びに行くと必ず僕はキスされた。石田くんは横目に呆れていた。そして、家の中はなんとも言えない貧乏くさい臭いがすっとしていた。

 

石田くんには幼馴染の女の子がいて、それも僕らと同じ学校で別のクラスの子だったから僕は面識がなかった。でも、ある日石田くんの家で石田くんと部屋で遊んでいたら、例の女の子が現れて、僕のことは気にかけず二人は絡まり始めた。というか、一方的だった、石田くんは僕の手前、恥ずかしいのか抵抗していた。女の子は肝心な事は何もしらないらしく、ただ戯れていただけだった。しかし、僕は絡新婦だと初めから見抜いていた。男を惑わすタイプの女というのが直感で分かった。怖かった。僕も混ざるか?と聞かれたから逃げた。

 

い:それはいつくらいの話ですか?

 

 

ひつじ:小学校低学年かな。

 

い:なんだ。あるじゃないですか、性の話。

 

ひつじ:やけに嬉しそうだね。

 

い:いや、性の話といいますか、初心にいきなり理不尽にぶつけられた性の何某かによって趣向や価値観が決まってしまう出来事を聞くのが好きなんですよ。

 

ひつじ:それならもう一つある。

 

い:なんですか?

 

ひつじ:同じくらい幼い時に、これまたすごく貧乏な荒屋というかプレハブのような家に姉と弟二人だけで生きてる姉弟がいて、彼らとどうやって仲良くなったのかは定かではないけど、多分、うちの姉と向こうの姉が同じクラスだったのかな、それでうちの姉に連れられてコミさん(姉)の粗末な暗い家でよくビデオを見ていた。エコエコアザラクって日本のホラー映画知ってます?黒魔術とか性犯罪とか復讐とかをテーマにしていて、とにかくあれはあの時期に観てはいけない過激な映画だったと思う。

 

い:原作は確か漫画でしたね。なるほど、気になりますね、その映画。覚えてるシーンとかありますか?

 

ひつじ:なんだろう全裸の女性が台の上に寝かされて身体に何かよくわからないもので何かを書かれているシーンとか。

 

い:ああ、かなりですね。