春の詩

朝から雨
自室の小窓は天井と同じ高さについていて外の様子を教える
どうやら太陽を分厚い雨雲が隠している
それでも日中とあって
透かして通り抜けてくる光の粒と
太陽の全とした在の強さで薄く明るい午前です
目を覚ますとそれだけの事が
白い天井の色を見ると分かる

逆説的に近づいてみよう
僕は天邪鬼なんだか素直なんだかわからない
最近よく錯覚に陥る
ここが異国の片田舎で辺りには畑と納屋と森しかない
そんな淋しくうらぶれた場所
僕は春を呪いながら祝福していた
春に生を受けた者の血の昂り
孤絶が染み付いた心とあらゆる発露を待つ万全の心と折り合いが悪い

僕は何だかこの多幸の陽気のうちに消えてしまうかもしれない
あまりに春は美しい
言葉もない あの砂混じりの水溜りに肩まで浸かりたい
あの道は日面に当たるんだ
とてもいい小道だ
目を瞑ると生きているとわかる
血の管を通してまた、皮膚を通して太陽が視える
視界は決して暗黒ではない

血の祠は暖かい