対談4

お前:今回からは中学生、高校生のより多感な時期の話を伺いたいのですが。

 

ひつじ:はい。そういう事ですね。

 

お前:よろしいですか?

 

ひつじ:前回よりは実のあるものにしたいよ。

 

お前:そうですね。どんな中学生でしたか?

 

ひつじ:僕の中学時代は前半と後半でがらっと様子が変わってしまう時期でもあって。だから前半はね、割と活発元気な運動少年だったんですけど、後半はある出来事がきっかけで居場所がなくなってやたら内向的になるんですけど。

 

お前:ほう。では順番に行きましょう。部活動は何をされてたんですか?

 

ひつじ:ソフトテニス部。

 

お前:楽しかったですか?

 

ひつじ:一年の頃はまだ引退直前の3年生が残っていて、そいつらがかなりの不良で意味もなくいちゃもんつけられたりで初めは全然楽しく無かった。

 

お前:ソフトテニス部にそんな不良いるもんですか?

 

ひつじ:僕が通っていた中学校のグランドってのがあまり広くなくて、何故かテニスコートだけが屋敷の離れみたいに学校を出て少し歩いた場所にあってね。そこは謂わば先生の目が届かない場所で、というかソフトテニス部の顧問はいるにはいたんだけど、三年生が余りに不良で手のつけようがなくて、ある日、顧問と三年生達の間で決定的な出来事があったらしく、それ以来、顧問は練習に顔を出さなくなった。そして、テニスコートのある第二グランド、通称2グラは不良の温床と化してたわけ。

 

お前:なるほど。スラムダンクのみっちーのエピソード思い出します。

 

ひつじ:そうそう、まあそんな感じよ。

 

お前:といっても普通、運動部って最後の大会が終わったら引退じゃありませんでしたっけ?冬とかそのくらい。そっから受験勉強に精を出すという、そういうイメージでしたが。私は運動部に入った事がないので、あくまでイメージですが。

 

ひつじ:そうだね。だから、連中は不良だから当然受験もしないし、ただ単に放課後に遊ぶ場所を求めてただけなんじゃないかな。でもお前、周りに運動部の友達の一人や二人いただろ?

 

お前:いないですよ。三年生が卒業してからはさすがに練習を邪魔しに来たりはなかったですか?

 

ひつじ:それじゃあいよいよ不良漫画じゃないか。なかったよ。

 

お前:そうですよね。何かエピソードありますか?部活動で。

 

ひつじ:特にないかなあ。穏当に過ごしてたよ。

 

お前:では、クラスの方ではどうでしたか?クラスメイトと。

 

ひつじ:学区的なので小学校から同じ連中はいたから前半は楽しくやってた。でも、ある日昼休みに鬼ごっこだったかドロケーだったかをやる事になって皆んなで外に集まっていたんだけど、僕はその日全然そんなのやりたい気持ちにならなかった。だから、参加しなかった。ただずっと机に座ってぼんやりしていた。

そんな風にして過ごして次の日はまた何事もなかったかのように、昼休みになれば遊ぼうと思っていたんだけど、もう仲間に入れなかった。

 

お前:どうしてですか?

 

ひつじ:今にして思うと分かるけれど、あの当時、僕の家庭環境は良くなかった。確か、丁度父親が出て行った時だったかな。僕の心の中で冷めた自意識のようなものが芽生え出していた時で、平たく言えば屈折ってやつなのかな。とにかく、もう馬鹿みたいにはしゃいだり皆んなと一緒にいるのは嫌だったんだと思う。僕は愛に飢えていて寂しかったんだと思う。

 

お前:それからはあなたの良き理解者は現れましたか?

 

ひつじ:ダメだった。スクールカースト上位の楽しい一群と後は陰気に少人数で集まる連中が点在しているだけで、僕は仕方なく陰気組に取り繕ったりしようとしたけど、ああいう奴らって妙に結束が固いし、ぽっと出を容易に歓迎したりは決してしない。臆病で用心深い。

そうなると僕の居場所はあまりなかった。それでも一部の変わった女子達は僕を放っておかなかったんだ。

 

お前:どんな女の子ですか、それは。

 

ひつじ:まあ腐女子とかオタクっぽい子だよね。僕はその頃、完全に彼女達が見ている漫画やアニメに出てくるニヒルで低体温、影の多い主人公の男みたいな様子をしていたから、まあ話しかけられるのは必然だったと思う。

 

お前:そうですか笑。すごく仲良くなったり付き合ったりしたとかは無かったんですか?

 

ひつじ:ないね。バレンタインチョコをもらった事はあったんだけど、僕はその子が全然タイプじゃなかったから何も行動しなかった。でも、あのティラミスはすごく美味しかった。

 

お前:好きな子はいたんですか?ひつじさん

 

ひつじ:いたよ。同時に何人も好きな子がいた。片思いで終わったけど。皆んな、もう一つの下町から来た学区の見たことない娘達で、いい意味で品がなくて、艶っぽくて簡単に言えばエロかった。だから好きだった。

 

お前:それってただやりたいだけなんじゃないですか?

 

ひつじ:そうだね。その辺りはよく分からない。中学生がどれだけの物を内側に抱えて闘っているのか考えたらその人の魅力と一口に言った瞬間に嘘になるというか。性的魅力と知性や美と好奇心と自己の性欲と様々な抑圧と。

 

お前:綯交ぜですね。片思いで終わった娘達とのエピソードは何かありますか?

 

ひつじ:一度、一人の女の子から昼休みに校舎の隅に呼ばれた事があったよ。行ってみるとミサンガを作っていた。一緒に手伝ってほしいと言われた。僕は誰にあげるの?とは決して聞かなかった。だって、これが女の子が男の子にあげるどういう種類のプレゼントかよくわかっていたし、意中の相手でもない男子に手伝わせるというのは幾らなんでも無神経過ぎると思ったから僕にくれるに違いないと思い込んで、ドキドキしながら半ば仲睦まじく会話を楽しみながら編んだ。でもまあ、この娘はあるサッカー部の男子にご執心で周りが見えていなかったわけで、僕は完全に彼女の中でナシの部類の人間で遣われただけ。そして僕も彼女に対してご執心で冷静ではなかった。とにかく、そういう愚かで可笑しい季節だった。

 

お前:分かります。私にもそういう経験の1つや2つありますよ。幸い、そういう巷に溢れるエピソードの中でも細やかなものだと思いますよ。

 

ひつじ:そうだね。と、まあ中学時代はこんな所かな。

 

お前:性欲についてまだ聞いてないです。

 

ひつじ:はあ。

 

お前:オナニーしてましたか?またどんなものを使ってしてましたか?

 

ひつじ:水を得た魚🐟

 

ひつじ:まあ、してたよ。かなり。授業中も全然してた。何を使ってたかと言うと大体が漫画。自分の本棚からI'sの伊織ちゃんとからんま2分の1とかぬ〜べのゆきめとか。でも姉の本棚からもこっそり盗み見していて、それが強烈だった。ハードなBLとか安倍晴明のやつとか、すえのぶけいこさんの漫画とか。

 

お前:まあ大抵は漫画ですよね。しかし、お姉さんの腐の趣味(と言って差し支えないと思いますけど)にはかなり影響受けたんじゃないですか?

 

ひつじ:そうそう、あの趣味はかなり少数ではあるけど特定の腐女子のラインナップなんよ。

そうね、ゲイとかレズの交わりは見ていて美しいなと普通に今でも思うし、異性間のそれからえぐみを濾したみたいな趣きがあるなと思って好きなんだよ、見るの。

 

お前:私はそういったポルノはまだ拝見した事がないので分かりませんが異性間で性交渉をする時に起こる熱の種類とはまた違うものなんじゃないかと何となく思わないでもないです。