3月18日 シ

そんな風に毎日は過ぎていった 3月 実家に帰る ひどい有様なのはもういい いざとなれば金さえ払えばこんな掃除なんて何とでもなる 家を早く探さないと 母と激しく口論をした後で私の冷酷な言葉で堰が崩れた ダメにしてしまった1日をどこに持っていけばいい 私はそろそろ何とでも呼ばれ出すんだ 

 

こんな格好をして颯爽と街を歩くやつは皆んな棚上げにしてる 暗所のいやらしい恒熱機関では彼方にお前を持っていくクビキが 恨み節の気分を過ぎてもう随分 叫び声だけのサンバ いつでも長い苦役を終えたみたいな草臥れ方をして街の乗りもの達 ゼンマイ式の僕が勢いよくビュンと出てきてしまった場所について 翼を持ちながら生まれつき飛ぶことが敵わない鳥が地団駄するとき 野性のそれで羽の先が強く地面に打った 何度か それだけ 私は壊れてなお血さえ流せないモノたちの悲しみにコンビニでトイレを借りるみたいに いや文字通りそこにあるカトリック教会でトイレを借りたんだよ 

 

苗は捨てた 枯れた 虫が出るまでは置いとこうなんて それを見たい心の在り方なんて 煮込みにできるならよかった この豆と君の乳首の色とアミューズメントコインの汚れの溜り方と

 

山を開いて作られた街に程近い場所に小さい頃は住んでいた 僕らはすぐに地の下を流れる水脈を見つけてコンクリの下に潜った 溝の中でその上を歩く走る平日活動音を聞いた 野良猫とは暗示的にしっかり対面して招かれざるぎこちない大物として別の道へお引き取り願った

 

 

朝日がね 夕日がね 春の風だね 夏がすぐそこ 冬が近い 秋の色だねと私たちもう まったくもう 軽く悩んで解けてしまう数式を協力して 

 

君を乗せて中古の車で国道をひた走る事はもう現代の神話の一説 手首には傷ひとつないよ パパがいった 初めから居なかった人だからどの時点で話していて今どこから声がするのか分からなかった パパ と言うと泣きそうになる 壊すのはいつもあいつで行政に対応できる部署がみつからない僕と母は未だに他所で作られたレトルトパウチのハンバーグで胃の具合を悪くしていた

僕らはどこに行くんだろう

実はもっと前からそれは絶えず続いていた

そんな風にして君はダメにしてしまう

巷に流れるポップソングは呪いを和らげ君の復調への気づきを与えていたりする

あの光の一つ一つにそれぞれの如何ともし難い地獄と呪いがある

2022年現在の日常も世界もシェイプすればやっぱり神話や童話みたいな有様だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

対談4

お前:今回からは中学生、高校生のより多感な時期の話を伺いたいのですが。

 

ひつじ:はい。そういう事ですね。

 

お前:よろしいですか?

 

ひつじ:前回よりは実のあるものにしたいよ。

 

お前:そうですね。どんな中学生でしたか?

 

ひつじ:僕の中学時代は前半と後半でがらっと様子が変わってしまう時期でもあって。だから前半はね、割と活発元気な運動少年だったんですけど、後半はある出来事がきっかけで居場所がなくなってやたら内向的になるんですけど。

 

お前:ほう。では順番に行きましょう。部活動は何をされてたんですか?

 

ひつじ:ソフトテニス部。

 

お前:楽しかったですか?

 

ひつじ:一年の頃はまだ引退直前の3年生が残っていて、そいつらがかなりの不良で意味もなくいちゃもんつけられたりで初めは全然楽しく無かった。

 

お前:ソフトテニス部にそんな不良いるもんですか?

 

ひつじ:僕が通っていた中学校のグランドってのがあまり広くなくて、何故かテニスコートだけが屋敷の離れみたいに学校を出て少し歩いた場所にあってね。そこは謂わば先生の目が届かない場所で、というかソフトテニス部の顧問はいるにはいたんだけど、三年生が余りに不良で手のつけようがなくて、ある日、顧問と三年生達の間で決定的な出来事があったらしく、それ以来、顧問は練習に顔を出さなくなった。そして、テニスコートのある第二グランド、通称2グラは不良の温床と化してたわけ。

 

お前:なるほど。スラムダンクのみっちーのエピソード思い出します。

 

ひつじ:そうそう、まあそんな感じよ。

 

お前:といっても普通、運動部って最後の大会が終わったら引退じゃありませんでしたっけ?冬とかそのくらい。そっから受験勉強に精を出すという、そういうイメージでしたが。私は運動部に入った事がないので、あくまでイメージですが。

 

ひつじ:そうだね。だから、連中は不良だから当然受験もしないし、ただ単に放課後に遊ぶ場所を求めてただけなんじゃないかな。でもお前、周りに運動部の友達の一人や二人いただろ?

 

お前:いないですよ。三年生が卒業してからはさすがに練習を邪魔しに来たりはなかったですか?

 

ひつじ:それじゃあいよいよ不良漫画じゃないか。なかったよ。

 

お前:そうですよね。何かエピソードありますか?部活動で。

 

ひつじ:特にないかなあ。穏当に過ごしてたよ。

 

お前:では、クラスの方ではどうでしたか?クラスメイトと。

 

ひつじ:学区的なので小学校から同じ連中はいたから前半は楽しくやってた。でも、ある日昼休みに鬼ごっこだったかドロケーだったかをやる事になって皆んなで外に集まっていたんだけど、僕はその日全然そんなのやりたい気持ちにならなかった。だから、参加しなかった。ただずっと机に座ってぼんやりしていた。

そんな風にして過ごして次の日はまた何事もなかったかのように、昼休みになれば遊ぼうと思っていたんだけど、もう仲間に入れなかった。

 

お前:どうしてですか?

 

ひつじ:今にして思うと分かるけれど、あの当時、僕の家庭環境は良くなかった。確か、丁度父親が出て行った時だったかな。僕の心の中で冷めた自意識のようなものが芽生え出していた時で、平たく言えば屈折ってやつなのかな。とにかく、もう馬鹿みたいにはしゃいだり皆んなと一緒にいるのは嫌だったんだと思う。僕は愛に飢えていて寂しかったんだと思う。

 

お前:それからはあなたの良き理解者は現れましたか?

 

ひつじ:ダメだった。スクールカースト上位の楽しい一群と後は陰気に少人数で集まる連中が点在しているだけで、僕は仕方なく陰気組に取り繕ったりしようとしたけど、ああいう奴らって妙に結束が固いし、ぽっと出を容易に歓迎したりは決してしない。臆病で用心深い。

そうなると僕の居場所はあまりなかった。それでも一部の変わった女子達は僕を放っておかなかったんだ。

 

お前:どんな女の子ですか、それは。

 

ひつじ:まあ腐女子とかオタクっぽい子だよね。僕はその頃、完全に彼女達が見ている漫画やアニメに出てくるニヒルで低体温、影の多い主人公の男みたいな様子をしていたから、まあ話しかけられるのは必然だったと思う。

 

お前:そうですか笑。すごく仲良くなったり付き合ったりしたとかは無かったんですか?

 

ひつじ:ないね。バレンタインチョコをもらった事はあったんだけど、僕はその子が全然タイプじゃなかったから何も行動しなかった。でも、あのティラミスはすごく美味しかった。

 

お前:好きな子はいたんですか?ひつじさん

 

ひつじ:いたよ。同時に何人も好きな子がいた。片思いで終わったけど。皆んな、もう一つの下町から来た学区の見たことない娘達で、いい意味で品がなくて、艶っぽくて簡単に言えばエロかった。だから好きだった。

 

お前:それってただやりたいだけなんじゃないですか?

 

ひつじ:そうだね。その辺りはよく分からない。中学生がどれだけの物を内側に抱えて闘っているのか考えたらその人の魅力と一口に言った瞬間に嘘になるというか。性的魅力と知性や美と好奇心と自己の性欲と様々な抑圧と。

 

お前:綯交ぜですね。片思いで終わった娘達とのエピソードは何かありますか?

 

ひつじ:一度、一人の女の子から昼休みに校舎の隅に呼ばれた事があったよ。行ってみるとミサンガを作っていた。一緒に手伝ってほしいと言われた。僕は誰にあげるの?とは決して聞かなかった。だって、これが女の子が男の子にあげるどういう種類のプレゼントかよくわかっていたし、意中の相手でもない男子に手伝わせるというのは幾らなんでも無神経過ぎると思ったから僕にくれるに違いないと思い込んで、ドキドキしながら半ば仲睦まじく会話を楽しみながら編んだ。でもまあ、この娘はあるサッカー部の男子にご執心で周りが見えていなかったわけで、僕は完全に彼女の中でナシの部類の人間で遣われただけ。そして僕も彼女に対してご執心で冷静ではなかった。とにかく、そういう愚かで可笑しい季節だった。

 

お前:分かります。私にもそういう経験の1つや2つありますよ。幸い、そういう巷に溢れるエピソードの中でも細やかなものだと思いますよ。

 

ひつじ:そうだね。と、まあ中学時代はこんな所かな。

 

お前:性欲についてまだ聞いてないです。

 

ひつじ:はあ。

 

お前:オナニーしてましたか?またどんなものを使ってしてましたか?

 

ひつじ:水を得た魚🐟

 

ひつじ:まあ、してたよ。かなり。授業中も全然してた。何を使ってたかと言うと大体が漫画。自分の本棚からI'sの伊織ちゃんとからんま2分の1とかぬ〜べのゆきめとか。でも姉の本棚からもこっそり盗み見していて、それが強烈だった。ハードなBLとか安倍晴明のやつとか、すえのぶけいこさんの漫画とか。

 

お前:まあ大抵は漫画ですよね。しかし、お姉さんの腐の趣味(と言って差し支えないと思いますけど)にはかなり影響受けたんじゃないですか?

 

ひつじ:そうそう、あの趣味はかなり少数ではあるけど特定の腐女子のラインナップなんよ。

そうね、ゲイとかレズの交わりは見ていて美しいなと普通に今でも思うし、異性間のそれからえぐみを濾したみたいな趣きがあるなと思って好きなんだよ、見るの。

 

お前:私はそういったポルノはまだ拝見した事がないので分かりませんが異性間で性交渉をする時に起こる熱の種類とはまた違うものなんじゃないかと何となく思わないでもないです。

 

 

末っ子

母親が会計をするのを横で黙ってみている兄。といってもかなり子供だ。弟の方はさらにガキでマイペースに色んな棚に目移りしながらようやくアイスコーナーに辿り着いた。

弟は欲しいものがやっと見つかったらしく、お菓子だのアイスだのと子供達が選んだ商品の会計を済ませたレジ袋を小脇に抱えた母親に向かってワンテンポ遅れて買って欲しいアイスを走りながら持ってきた。

それ、同じのもう買ったよ、と母親は言う。

ああ、なら良かったじゃないか。と私は内心思っていたら自分が大事そうに持っていた方の商品をアイスケースに直してこちらに戻ってくる時の弟の顔は不貞腐れと半泣きの間みたいな顔をしていて嫌だ、違う。と母親に強く訴える。が、俯いている。もう殆ど泣きそうだ。

何が?同じのだよ。と母親は言いながらごねる弟を宥めるように一緒に店を出て行く。弟はもう母親に寄りかかってしまってずっと首を振っている。奴は今や何も見えちゃいない。斜めに母親に寄りかかりながら母親の脇腹目掛けて頭部をこすりつけている。おいおい、駄々のポーズにしては出来過ぎてやしないか、胎内回帰か、おい。だとしても突貫工事がすぎないか駄々っ子よ。神話みたいな無茶だよ、それ。

 

もう人目も何も関係ない。大好きなお母さんに守られながら、自分の思い通りにならなかった根源でもあるそのお母さんに駄々をこねている。もう最初から最後までお母さんの愛フルコースを味わう尽くす魂胆だったんだよ。アメもムチだし結局ママだし、ムチもアメだし、結局ママだし。そもそも甘えたの末っ子ってのはいつでもそうなんだ。心はいつも「当然の帰結、ママ」と安心しきっている。

だからなんだ。私は6人兄弟の末っ子の父と4人兄妹の末っ子の母から産まれた末っ子である。見てみろ、両親は未だにアダルトチルドレン只中で一度壮絶な喧嘩をやって父は家を出たきりだ。それから15年以上離婚もせずに互いに孤独と利己心だけを鋭利にして、とっつき難く、いつも不機嫌なろくでもない大人に成り下がった。私は、自覚している。エゴイズム。恥ずべきエゴイズム。認める。許す。自分も他人も。

臭え、ため息はごめんだ。

 

 

 

春の詩

朝から雨
自室の小窓は天井と同じ高さについていて外の様子を教える
どうやら太陽を分厚い雨雲が隠している
それでも日中とあって
透かして通り抜けてくる光の粒と
太陽の全とした在の強さで薄く明るい午前です
目を覚ますとそれだけの事が
白い天井の色を見ると分かる

逆説的に近づいてみよう
僕は天邪鬼なんだか素直なんだかわからない
最近よく錯覚に陥る
ここが異国の片田舎で辺りには畑と納屋と森しかない
そんな淋しくうらぶれた場所
僕は春を呪いながら祝福していた
春に生を受けた者の血の昂り
孤絶が染み付いた心とあらゆる発露を待つ万全の心と折り合いが悪い

僕は何だかこの多幸の陽気のうちに消えてしまうかもしれない
あまりに春は美しい
言葉もない あの砂混じりの水溜りに肩まで浸かりたい
あの道は日面に当たるんだ
とてもいい小道だ
目を瞑ると生きているとわかる
血の管を通してまた、皮膚を通して太陽が視える
視界は決して暗黒ではない

血の祠は暖かい

対談 3

ひつじ:56日前だよ。前回。しかも、その前回の締めが近況報告に終始してしまったから、次回は間を空けずにって終わってたのに、この体たらく。

 

お前:すいません。

 

ひつじ:ほぼ2ヶ月じゃないの。

 

お前:はい。しかし、叱責もそのくらいにしといて本題に行きませんか。今回は、そういうので終わりにはしたくないので。

 

ひつじ:いや、全然怒ってないよ。話の枕として、そういう入りにしただけ。よし、さっそく本題行こう。

 

お前:小学生までの話は伺いましたかね、確か。

 

ひつじ:そうね、大体は。

 

お前:話し足りない事とか無ければ中学、高校と行きましょう。

 

ひつじ:あ、一つある。僕の人格形成に関わるエピソード。

 

お前:はい。

 

ひつじ:あの、小学4年か5年の頃、うちのクラスに転校生がやってきて、、M君って言うんだけど。その子は色白で癖っ毛、顔に黒子が多くてなよっとした感じの子で、割とこういうフェミニンな感じの男子ってナイーブで繊細で自分の世界に閉じこもる子が多い気がするんだけど、彼はどちらかと言えば快活素直根明系で、頑張るんだけどよくトチるみたいな愛されるいじられキャラだったわけ。

 

お前:フェミニンドジっ子男子だ。顔立ちはよかったんですか?

 

ひつじ:やっぱいじられとかドジっ子の素養がある子は多分に漏れず、あまりシュッとはしてなかったよね。

それで、そんな明るい奴だからクラスにもすぐに馴染んだし、僕らの仲良しグループの一人に加わって一緒に遊んだりしてたんだけど、、何でか忘れちゃったけど、ある日、彼の家に招待されて一緒に彼の部屋で日暮れまで遊んだ事があって。

 

お前:ほう。

 

ひつじ:で、彼の住んでる所ってのは、というか、その前に僕らが住んでいた街ってのはインド人がとても多い場所だったの。それで、その彼のマンションってのは住人から大家さんから皆んなインド人が住んでる変わったマンションでね。駐車場にはガンジー銅像があったし、館内には宗教的な慣例だか儀式だかをするようなちょっとしたスペースがあったりなんかして。

 

お前:日本で商売して暮らしてるインド人は金持ちの道楽的なニュアンスなんですかね、そんな事を聞いたような聞いてないような

 

ひつじ:そうね、少なくとも一定の人数はいそうだよね。事実、彼のマンションは中がすごかった。エントランスは大理石だし、廊下にかかっている絵画や踊り場にある調度品の全てがラグジュアリーでアダルトに見えた。当時はラグジュアリーなんて言葉知らなかったけど、感覚的にわかった。

 

お前:それで?

 

ひつじ:でまあ、そんなマンションだったからかは分からないんだけど、自分の中で変なスイッチが入ってしまって。

 

お前:はい?何したんです?

 

ひつじ:うーん、押し倒してしまって彼を。最初は普通にテレビゲームとかしてただけだったのに、なんだか場の持つ雰囲気にやられたのかなあ。

 

お前:好きだったんですか?その恋愛的に。

 

ひつじ:いや、そういうじゃ全然ない。正直、何とも思ってないし、何だったら鈍臭い奴だし、なよなよしてるし、あんまり好きではなかった。でも、その時は多分もうスイッチが入ってしまってたから誰でも良かったんだと思う。

 

お前:でも、そのスイッチという物の存在を自覚したのもスイッチが入ったのもその時が初めてだったんですよね?

 

ひつじ:そう。だから、後から後から色んな事を考えた。でもその周辺の季節には僕らは何だかあの日限りの事だったと妙にあっさりして、別に自分の性的指向に深く思い悩んだりする事もなく次の日からまた普通に友達として接することが出来た。

 

お前:ひつじさんは今現在、自身の性的指向バイセクシャルで通していらっしゃいますが、これは今から考えるとそういうエピソードの1つにカウントされますか?

 

ひつじ:正しく、これが最初。僕は快楽主義でもってバイセクシャルなんだ。快楽に性別は関係ない。興奮に足る魅力は男性にも女性にもある。

お前:余す所なく味わいたいって事ですか、欲深。

 

ひつじ:よっぽど健全だよ。

 

お前:それで、押し倒しただけだったんですか、その日は。具体的に諸々を赤裸々に。

 

ひつじ:いやまあ、擦り付けたり、触り合ったりくらいじゃないかなあ。それ以上はなかったよ。

 

お前:何処ぞの小学生が登り棒にしがみついて病みつきになってる図よりはよっぽど絵にはなりますね。まあ、それでも可愛いもんですよ。

 

ひつじ:可愛いもんですよ。

 

お前:今日はこれでまた終わりですよ。言い忘れたを言葉尻にここまで喋られると嫌われますよ。気をつけてください。

 

ひつじ:お前にしか饒舌にならないから大丈夫だよ。普段は必要以上に弁えてるんだ。この僕がだよ。

 

お前:うるさい、お前もう。

 

 

 

 

 

対談 その2

い:ご無沙汰しておりました、前回話が途中でしたね。

 

ひつじ:さっき見返したんだけど、途中だね。子供の頃に食らった理不尽なエロの話してた。

 

い:ああ、そうでした。エコエコアザラクでした。

…そうですね、ひつじさん、あれからほぼ2ヶ月が経ちますが、最近はいかがお過ごしですか?

 

ひつじ:こっちはこうさどうにもならんよ、今んとこはまあそんな感じなんだ、です。

 

い:ふふ。なるほど、分かりやすい。貴方は割と年がら年中、金に困窮していたり、仕事もしてたりしてなかったりと不安定が板についてらっしゃるものね。

 

ひつじ:自分で言うのはいいが人に指摘されるとってやつ。うるさいぞ、お前。

 

い:失敬。具体的に何か、エピソード的なのありますか?その、どうにもならない日々の。

 

ひつじ:今年ね、29の齢なんだけど、僕は何というか、今年のはじめにすごく身構えたんだよね。29歳ってなんか危うい季節なんだろうなと、何となくわかって。過渡期でもあるし、総決算でもあるし。ああ、まだ前段なんだけど。

 

い:はいはい、いいですよ。

 

ひつじ:それで、蓋を開けてみたらそこまで大した出来事はなかったけれど、とにかく、見えない力が働いているのは分かった。僕が浮ついた事をしたり、焦ってジタバタする毎にそれなりの叱責が都度、必ず返ってきた。やるべき事、やるべきではない事というのが明確に見えて、というか、それ以前も見えてはいたけど、みないふりをしたりして逃げれたりできたんだけど、ここに来て、いよいよ僕の神さまが僕のケツを叩きはじめて。

 

い:一概にそういう年の事を人は厄年とかいいますよね。ついてない、不幸だと。

 

ひつじ:損得や幸不幸でまず考える人は貧しいです。うーん、スピった話になるけど、運命の大きな流れがまずあって、それには抗えないわけ、絶対に。流れのない時期に何をしてもうまくいかないように。で、一人で生きてきた人にはよく分かると思うけど、そういう、兆し、流れのしっぽとかここから向かい風だなとか何となく分かってくるのよ。あ、今日からなんか変わったなって。

 

い:それは誰しもにも言える事ではなさそうですね。

 

ひつじ:どうだろう……。なんか偉そうだな。ごめんなさい。

 

い:いいんですよ。面白いです、わりかし。

 

ひつじ:うーん、あまりおしゃべりな奴って好きではないんだよ。得意になっちゃって。僕は自分の平熱というのが分からないんだ。直ぐにおかしな事になってる気がして、つい謝ってしまう。

 

い:あんた、変だよ。ずっと。それでいい。

 

ひつじ:まあいいか。それで、なんの話だっけ?

 

い:ご自分で遡ってください。あまりついていける文脈ではないので、かいつまむのも容易ではないです。

 

ひつじ:えーと、つまり多分、20代の最後の歳はそれまで習慣化した悪しきものを捨て修正の効くものは修正し、先に進めという神さまからの仰せをビシビシと感じるなって今年の途中で気づいたんですね。

 

い:じゃあまあドツボとか八方塞がり的などうにもならなさではないわけだ。

 

ひつじ:そうだね。エピソードで言えばubereatsの配達中に料理をピックアップして届け先まで残り500mくらいの所でスマホ落として電源入らんくなって途方にくれたり、バイクパンクしたり、仕事で小指骨折したり、金が無さすぎて、ゲーム機とか楽器を質に入れてしまったり、適応障害になってしまって仕事の初出勤の日は動悸がひどくなったり、一番仕事がハードな時にしっかり眠りたい時にベッドがイエダニにやられかけてゴミ袋敷き詰めて小さくなって寝たとかそのくらい。

 

い:わはは。ダメだねえ。でも、段々、良くなってきたわけ?もう年の瀬だけど。

 

ひつじ:そうだね、最近やっと諦めがついたんだ、一番厄介だった事に。詳しくは言わないけど。

 

い:それは良かった。どうしよう、まだ近況しか聞けてないわ。まあ12月の近況は長くなるよね。大体、そこそこ真面目な人にかかれば、それは今年の振り返りになるんだから。

 

ひつじ:そうだよ、ほんとインタビュアーとしてペース配分とかちゃんとしなさいよ、あんた。こちとら、いいだけ話せば止まんないんだから。

 

い:ですんで次回はあまり間を空けずにまたやります故、何卒頼みますね、ひつじさん。