夢日記
ダムに沈んだ街を歩く
僕らは心霊スポットと知らされず
友人の一人の女の子の案内でそこまで来ていた
沈んだ街の側溝や路地にはたくさんのお地蔵さんや人形があった
階段を使ってずんずん下まで降りると一軒の戸建てを残して先はダムになっている
ダムというよりそれは巨大な沼地にみえる
明らかに地面を張るそれはそこに滞る事を余儀なくされた得体の知れない液体だった
色は緑と乳白色がまだらになって表れていた
ここがダムの最下層で見上げると少し上に大きなダクトが等間隔に横に3つ並んでいる
水は銭湯の湯のように勢いよく出ている
だのにその水は水面であるべき場所にただ吸い込まれていくばかり
私たちは皆、そこまで来てみて霊感がないにしろ場の異様さに声が出なくなった
案内役の女がこの戸建てとダムの間に小さな祠があるからそこに行こうという
皆やたらと怖いのだが五人もいるのでこういう場合は往々にして茶化して誤魔化しあって先に進んでしまう。私たちもそうした。
間にはなだらかな坂があり砂利道だ。と思ったらもう着いた。行き止まり。
一台の埃まみれの軽自動車がその袋小路の門番のように停まっていて、そのすぐ先に祠があった。さっきの場所からそんなに離れていないのにここは随分薄暗い。
一人がここ嫌だと言った。すると残りもうん、気持ち悪い、寒気がすると続いた。
案内役の女はじゃあ戻ろうと言う
皆、終始無言だった
案内役の女がぼそりと言う
ここは結構危険な場所なんだ
なんなの、ここ。
さっきいた場所まで戻ってきた。
右手に見える戸建ては真新しく裏は崖になっていて先には山がある。また木々が随分な角度で迫り出し家をまるで覆っているようだから一日中薄暗い。ここから住人が見える
庭に面した部屋の窓の先に母親と息子
息子はテーブルに座り勉強していて母親はそれを監督している
僕らは急に理解する、この場所のいわれを。
街中にある地蔵や人形の意味を知り早く立ち去りたくなった
夢はここで終わっている
出典/滝本淳介さんの写真より