10月1日

昨日はベッドで眠る事を諦めて巨大な作業机の下にヨガマット、の上にバスタオル4枚を敷いて眠った。身体が痛くて夜中に目を覚さないか心配だったが一度も睡眠は途切れる事なくめざめた。起きてみてからも身体の強ばりや痛みはなく、窮屈な格好で寝た割には快眠だったと思ったくらいだった。考えてみればいつもベッドの上でも体を小さく丸めて眠る私だ、むしろ低い屋根が頭上にあったおかげでリラックスして眠れたのではないかと思える。自分は昔から猫が好きそうな狭くて暗い静かな場所が好きなので性に合っていたのだろう。

それでも連日これでも身体に支障が出るのは目に見えているので、起きて身支度をして近所の薬局にダニアースを買いに行く。

原因はわかっていた。物置を整理した時、余りに物が多くて、そうだ座椅子くらいはフラットにすればベッドの下に直せるなあと思ってしまって、それを行動に移してしまった。考えてみれば押し入れに直ぐにこの後直さなければならない何かが控えている訳でもなし、座椅子一つ分のスペースを空けてみて何だと言うんだろう。咄嗟の思いつきをした時ほど危険だとつくづく思う。こんな時ほどまず検討をするべきだった。

買ってきたスプレーは大方使ってしまった。これで駄目なら2つの意味でお手上げだ。1つ、眠る場所がなくなる。2つ、大型ゴミになるのだろうが一人で運び出せる気がしない。次いで布団を買う金もしばらくはない。

東京にいた頃もダニに悩まされた事があった。新たなシェアハウスに住み始めて数日の事だった。そこは木造戸建ての古い家をリノベーションしてシェアハウスにしたような所で、僕は2階の和室を借りていたのだけれど、西と南に大きな窓が2つあってカーテンは初めから付いていた。そのカーテンがいけなかった。随分、草臥れていて汚らしいから新しいものに変えようと思ってレールのコマからカーテンフックを一つずつ外して、という作業を2回繰り返して抱き抱えてまとめてポリ袋にいれた。それから夜勤のバイトに行くのに夕方まで眠った。

目を覚まして、すぐには気が付かない。だが手は無意識に身体を執拗に掻いている。手に当たる虫さされとは違う肌の歪。何だか股の辺りがボコボコしている。撫でると股一帯が痒すぎて麻痺を起こして身体中に鳥肌が巡る。洗面所の鏡を見て自分の身体の侵され方をみて驚いた。腹から左右の内股にかけて赤い点々だらけだった。それでも病気ではないから仕事には行った。歩く度に股とズボンが擦れて痒さで頭がおかしくなりそうになりながら現場まで行って仕事もこなした。仕事の前に薬局で塗り薬を買って塗ったがまるで効果はなかった

それが原因で僕は自棄をおこしてシェアハウスを飛び出した。精神的にまいっていた時期だったのでこれも致し方なし。それから荻窪駅前の漫画喫茶で生活をしてしばらく生きていたりした。

 

色んな経験をしてきたから何にも余り驚かなくなったし、どうとでもなるだろうと知っているから若い彼のように自棄は起こさなくなったけど、眠る場所さえ即席で満足のいかないまま知らない土地で眠るというのはよく蒸発していた頃を思い出して、またやりたいなあと思ってしまった。